観光、親族訪問、短期商用などを目的として在留資格「短期滞在」で日本に入国した外国人の方から、「日本で就職先が決まったので、そのまま就労ビザへ変更したい」・「家族滞在の在留資格認定証明書が交付されたので、日本から出国せずに変更したい」などといったご相談をいただくことがあります。

しかし、在留資格「短期滞在」から他の在留資格への変更は、原則として認められていません。入管法では、短期滞在からの在留資格変更について、「やむを得ない特別の事情」がある場合でなければ許可しない取扱いとなっています。

そのため、日本で就職先が決まった、結婚した、在留資格認定証明書が交付された、といった事情があるだけで、当然に日本国内で在留資格を変更できるわけではありません。通常は、必要な在留資格について在留資格認定証明書交付申請を行い、一度日本から出国したうえで、海外の日本大使館・総領事館等で査証を取得し、改めて日本へ入国する流れになります。

本記事では、短期滞在から在留資格変更が原則として認められない理由、日本国内で変更できる可能性がある場合、在留資格認定証明書との関係、就職や結婚をした場合の注意点について解説します。

短期滞在とは

在留資格「短期滞在」は、日本に短期間滞在して、

  • 観光
  • 親族訪問
  • 友人・知人訪問
  • 保養
  • スポーツ
  • 見学
  • 講習・会合への参加
  • 業務連絡などの短期商用

といった活動を行うための在留資格です。

在留期間は、90日、30日又は15日以内の日を単位とする期間です。

例えば、外国に住む両親を日本へ呼び、一定期間一緒に過ごす場合や、日本人の婚約者を訪問するため来日する場合などにも短期滞在が利用されます。一方、短期滞在は、日本に中長期間生活することを前提とした在留資格ではありません。

この点が、技術・人文知識・国際業務、家族滞在、日本人の配偶者等などとの大きな違いです。

短期滞在から在留資格変更は原則できません

一般的な中長期の在留資格で日本に在留している場合には、在留目的が変われば、在留資格変更許可申請を行うことができます。

例えば、

留学

技術・人文知識・国際業務

家族滞在

技術・人文知識・国際業務

技術・人文知識・国際業務

日本人の配偶者等

といった変更です。

在留資格変更許可申請は、本来、日本から出国することなく、現在の在留資格から別の在留資格へ変更するための制度です。しかし、短期滞在については特別な取扱いがあります。

短期滞在から別の在留資格への変更は、やむを得ない特別の事情がある場合を除き、原則として認められません。

したがって、「90日の短期滞在が残っているので、その間に就労ビザへ変更すればよい」という考え方は適切ではありません。

「やむを得ない特別の事情」とは

短期滞在からの変更で最も重要になるのが、**「やむを得ない特別の事情」**です。

ただし、

「この条件を満たせば必ず特別の事情になる」

という一律の基準が設けられているわけではありません。

申請人が日本へ入国した経緯、その後に生じた事情、希望する在留資格、家族関係、日本から出国して通常の手続きを行うことができるかなどを踏まえて、個別に判断されます。

そのため、

  • 日本人と結婚した
  • 就職先が決まった
  • 家族が日本にいる
  • 在留資格認定証明書を取得した

という事実があったとしても、それだけで当然に「やむを得ない特別の事情」が認められるわけではありません。

短期滞在からの変更を希望する場合は、通常の在留資格変更申請よりも、まず国内変更を受け付けてもらえる事情があるのかを確認することが重要です。

日本で就職先が決まった場合

短期滞在で日本に来ている間に、企業から採用の話を受けることがあります。

例えば、

観光・親族訪問で来日

日本企業と面接

採用が決定

技術・人文知識・国際業務へ変更したい

というケースです。

しかし、日本で就職先が決まったことだけを理由として、短期滞在から技術・人文知識・国際業務への変更が当然に認められるわけではありません。

通常は、勤務先となる企業等が在留資格認定証明書交付申請を行います。認定証明書が交付された後、本人はいったん日本から出国し、原則として海外の日本大使館・総領事館等で査証を取得してから、改めて日本へ入国します。

もちろん、技術・人文知識・国際業務そのものの要件も満たす必要があります。

本人の学歴・職歴、専攻内容、仕事内容、報酬、会社の事業内容などが審査されます。

日本人と結婚した場合

短期滞在で来日している外国人が、日本人と結婚するケースもあります。

例えば、

外国人の婚約者が短期滞在で来日

日本で婚姻届を提出

在留資格「日本人の配偶者等」を希望

という場合です。

ここで注意したいのは、「日本人と結婚すれば、必ず短期滞在から日本人の配偶者等へ変更できる」という制度ではないことです。

婚姻が成立していることと、短期滞在から日本国内で在留資格を変更できることは別の問題です。まず、本当に婚姻が成立しているか、婚姻の実体があるかなど、「日本人の配偶者等」の要件が確認されます。それに加えて、現在の在留資格が短期滞在である以上、日本国内で変更を認める「やむを得ない特別の事情」があるかという問題があります。

そのため、結婚したという理由だけで、「そのまま日本に住める」と考えず、婚姻後の在留手続きを確認する必要があります。

在留資格認定証明書が交付された場合

短期滞在中に、別の在留資格について在留資格認定証明書交付申請を行うケースがあります。

例えば、

短期滞在で日本にいる

家族滞在の在留資格認定証明書を申請

日本にいる間に認定証明書が交付された

という場合です。

このとき、「COEが出たので、そのまま日本国内で在留資格を変更できますか?」というご質問があります。しかし、在留資格認定証明書は、本来、外国人が日本へ新たに入国する際の手続きを円滑にするための制度です。

したがって、COEが交付されたからといって、短期滞在からの国内変更が自動的に認められるわけではありません。

COEがあれば必ず国内変更できるわけではない

ここは特に注意が必要です。出入国在留管理庁は、短期滞在から他の在留資格への変更について、単に日本滞在中に在留資格認定証明書が交付されたという事実だけでは、「やむを得ない特別の事情」には該当しないことを明確にしています。

したがって、

短期滞在

在留資格認定証明書の交付

だからといって、

必ず日本国内で変更できる

ということではありません。

この点は以前の実務経験やインターネット上の情報だけを前提に判断しない方がよい部分です。COEが交付された場合でも、原則的には一度出国し、そのCOEを利用して必要な査証手続きを行ったうえで再入国することを考えます。

原則的な手続きの流れ

短期滞在で日本にいる外国人が、中長期在留資格で日本に住むことを希望する場合、基本的には次の流れで進みます。

① 希望する在留資格を確認

例えば、

技術・人文知識・国際業務
家族滞在
日本人の配偶者等
経営・管理

などです。

② 在留資格認定証明書交付申請

日本国内の勤務先、配偶者、家族など、申請する在留資格に応じた代理人等が申請します。

③ 在留資格認定証明書の交付

審査の結果、認定証明書が交付されます。

④ 短期滞在の期間内に日本から出国

⑤ 海外の日本大使館・総領事館等で査証申請

⑥ 新しい在留資格で日本へ入国

これが原則的な考え方です。

短期滞在からの国内変更は、この原則に対する例外として考える必要があります。

短期滞在中に働くことはできない

短期滞在から就労資格への変更を考えている場合、もう一つ注意したいことがあります。

在留資格「短期滞在」で在留している外国人は、原則として日本で報酬を受ける就労活動を行うことはできません。短期商用として認められる業務連絡等とは区別する必要があります。

例えば、

「技術・人文知識・国際業務のCOEを申請した」

「会社から内定をもらった」

「在留資格変更を相談している」

という段階で、正社員として働き始めることはできません。

就職先が決まったことと、日本で就労できる在留資格を取得したことは別です。

企業側も、現在の在留資格を確認せずに外国人を働かせないよう注意する必要があります。

変更申請をすれば在留できるとは限らない

一般的な中長期在留者の在留資格変更許可申請では、在留期間内に適法に申請している場合、一定の条件のもとで特例期間の対象となることがあります。

しかし、短期滞在から別の在留資格への変更については、そもそも「やむを得ない特別の事情」がなければ原則として変更が認められない手続きです。

そのため、「短期滞在の期限直前に変更申請を出せば、そのまま日本に残れる」と考えて手続きを進めることは適切ではありません。

短期滞在の期限が近い場合には、特に時間的な余裕がありません。

国内変更が可能かどうかを含め、早い段階で確認する必要があります。

短期滞在の在留期間を延長できる?

短期滞在について、「在留期間を延長して、その間に在留資格の準備をしたい」と考える方もいます。しかし、短期滞在の在留期間更新についても、通常の在留資格とは異なります。

短期滞在の更新は、原則として、人道上の真にやむを得ない事情又はこれに相当する特別な事情がある場合に認められるものです。

例えば、病気の治療を継続する必要がある場合などが該当例として示されています。

したがって、

  • 就職活動を続けたい
  • COEの交付を待ちたい
  • もう少し日本に滞在したい

という理由だけで、短期滞在の更新が当然に認められるわけではありません。

短期滞在からの「在留資格変更」と、短期滞在そのものの「在留期間更新」は別の手続きであり、どちらも通常の中長期在留資格とは異なる厳しい取扱いがあります。

東京入管では事前相談が必要

東京出入国在留管理局で在留資格変更許可申請を行う場合、「短期滞在」からの変更申請については、申請予約を行う前に審査部門への事前相談が必要な申請として案内されています。

これは、短期滞在からの変更が通常の在留資格変更とは異なり、例外的な取扱いだからです。

そのため、

書類を一式準備する

そのまま窓口へ提出する

という進め方ではなく、まず現在の事情を整理し、申請先の入管に確認する必要がある場合があります。

特に東京入管へ申請を予定している方は、申請方法についても事前に確認しておくことが重要です。

短期滞在で来日する前に考えておきたいこと

将来的に日本へ中長期間住むことが最初から決まっている場合には、短期滞在で入国してから在留資格を変更する方法を前提としない方がよいでしょう。

例えば、

「日本人と結婚して日本で生活する予定が決まっている」

「日本企業への採用がすでに決まっている」

「日本で家族と一緒に生活する予定が決まっている」

という場合には、最初から目的に合った在留資格について在留資格認定証明書交付申請を行い、適切な査証を取得して入国することが基本です。

短期滞在は、あくまで短期間の観光、親族訪問、短期商用などを行うための在留資格です。

最初から日本で中長期間生活することを目的としている場合には、入国前から適切な在留資格の取得を検討することが重要です。

当事務所のサポート

当事務所では、短期滞在で日本にいる外国人の今後の在留資格についてご相談に対応しております。

短期滞在から他の在留資格への変更は、通常の在留資格変更許可申請とは異なり、原則として認められません。

そのため、まず、

現在の来日目的
短期滞在の在留期限
日本へ入国した後に生じた事情
希望する在留資格
在留資格認定証明書の申請状況
日本から一度出国できるか

などを確認する必要があります。

例えば、次のようなご相談に対応しています。

「短期滞在中に日本企業から内定をもらった」
「短期滞在で来日している外国人を採用したい」
「日本人と結婚したので日本人の配偶者等へ変更したい」
「短期滞在中に家族滞在のCOEが交付された」
「COEが交付されたので日本国内で変更できるか確認したい」
「一度帰国しなければならないのか確認したい」
「短期滞在の期限が近づいている」
「日本国内での在留資格変更が可能か相談したい」

短期滞在からの在留資格変更については、「日本にいるから、そのまま変更すればよい」という考え方はできません。また、在留資格認定証明書が交付されていても、それだけで国内変更が認められるわけではありません。

まず原則的な手続きを確認したうえで、国内変更を検討する事情がある場合には、その事情を個別に整理することが重要です。

短期滞在から中長期の在留資格への変更をご検討されている場合は、在留期限に余裕がある段階でご相談ください。