グループホームには、認知症(介護保険法)の方を対象としたものと障害者(障害者総合支援法)を対象としたものの2種類があります。障害者グループホームとは、地域の方との交流を図りながら、アットホームな環境の中少人数で生活するグループホームです。障害者が希望する生活スタイルや必要な支援は様々で、ニーズに合った生活が実現できるように法律上4つのサービスに分かれています。本記事では、4つのサービス形態をもつ障害者グループホームとはどのようなものか、またそれぞれの違いやサービス内容について詳しく解説します。
4つの障害者グループホーム
障害者グループホームはの以下4つに分かれています。人員配置やサービス内容から、それぞれの違いについて解説します。
- 介護サービス包括型
- 外部サービス利用型
- 日中活動サービス型
- サテライト型
1.介護サービス包括型
世話人や生活支援員の援助のもと、複数人で生活する場所のことを指します。主に夜間や休日に援助を受けることで困り事を解消し、地域生活をより豊かにします。名前のとおり介護サービスが受けられますが、夜勤スタッフは配置されていません。
人員配置
- サービス管理責任者 利用者30人に対して1人
- 世話人 利用者4~6人に対して1人
- 生活支援員 利用者2.5~9人に対して1人 ・夜勤スタッフなし
サービス内容
家事や相談など、日常生活を営む上で必要な支援のみを行います。生活支援員の配置義務はありませんが、身体介護が必要な場合は、外部の居宅介護事業者と連携を図り、介護サービスへ繋ぐお手伝いをします。
2.外部サービス利用型
世話人や生活支援員の援助のもと、複数人で生活する場所のことを指します。主に夜間や休日に援助を受けることで困り事を解消し、地域生活をより豊かにします。名前のとおり介護サービスが受けられますが、夜勤スタッフは配置されていません。
人員配置
- サービス管理責任者 利用者30人に対して1人
- 世話人 利用者4~6人に対して1人
- 生活支援員 利用者2.5~9人に対して1人
- 夜勤スタッフなし
サービス内容
調理や掃除などの生活援助や入浴・排泄などの身体介護を行います。生活面における相談や、日中活動サービスとの連絡調整といったサポートも兼ねています。休日には余暇活動の援助を行い、地域生活の手助けをします。生活支援員による介護が受けられますが、夜間において常駐スタッフがいません。介護は必要だが24時間の介護が必要でない障害者にとって、生活を送りやすいグループホームです。
3.日中活動サービス型
障害者の重度化や高齢化に対応した、24時間の援助体制のグループホームです。4つのグループホームの中で、比較的手厚い援助を受けられるので、介護度の高い障害者にとって安心です。
人員配置
- サービス管理責任者 利用者30人に対して1人
- 世話人 利用者 5人に対して1人以上
- 生活支援員 障害支援区分に応じ、利用者2.5~9人に対して1人
- 1名以上の夜勤スタッフ
サービス内容
夜勤スタッフがおり、24時間の援助体制のもと生活できます。重度化・高齢化により日中活動が困難な場合などは、グループホームで過ごすことも可能です。また、在宅生活を送る障害者の緊急一時的な宿泊の場も併設しています。
4.サテライト型
他のグループホームより自立した生活を希望する障害者へ向けた、単身生活をサポートするグループホームです。プライベート空間が保たれるといったメリットがあります。解説してきた3つのグループホームと違い、本体住居となる近くのグループホームを母体とし、必要な支援を受けながら1人暮らしを実現します。
人員配置
本体住居となるグループホームの人員配置をもとに、本体住居とサテライト型の利用者を合わせて人員を計算します。
サービス内容
支給決定を受けた方の中で、早期に単身生活を送ることが可能であると認められた方が利用対象者となります。一日数回の巡回を行い、家事や相談をメインに1人暮らしを支援します。食事や余暇時間には、本体住居で必要な支援を受けることも可能です。
障害者グループホーム利用の対象者について
どのような方が利用対象者となり、どのようにグループホームを選ぶべきかについて解説します。
利用対象者
- 原則18歳以上の知的障害者、精神障害者、身体障害者、難病患者など障害者総合支援法が定める「障害者」
- 療育手帳・精神障害者手帳・身体障害者手帳を持っている方
- 身体障害の場合は、65歳未満の方や65歳に達する前日までに障害福祉サービスやこれに準ずるサービスを利用したことがある方
- 4つのグループホームについて、障害者支援区分にかかわらず利用が可能です。ただし、サテライト型については、単身生活という生活スタイルが可能であると認められた障害者であれば利用が可能となります。
障害者のニーズに合ったグループホーム選び
障害者グループホームは、「24時間の介護を受けたい」「1人暮らししてみたい」など個々のニーズを満たすため4つの形態に分かれています。障害支援区分に関わらずどのグループホームも利用できます。しかし、重度障害者の生活の場として選んだグループホームに夜勤者がいなければ、安心した暮らしはできません。このようなミスマッチを防ぐため、4つの障害者グループホームそれぞれの特徴を知った上で、利用者にとって最適な生活の場を選ぶ必要があります。
今後の障害者グループホームが目指すもの
居住支援系サービスである障害者グルーブホームの目指す方向性として、地域移行があげられています。山奥の施設の中で一生を終えるのではなく、日中に働く場が街中にあり、ふつうの住宅街に住まいがある様に、障害があってもふつうの生活が送れるように環境が整えられています。
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定
これからの障害者グループホームでは、より本人のニーズに合った支援の充実に取り組むべく、以下の支援に対する報酬の見直しが掲げられています。
- 単身生活を希望する利用者への支援
- 強度行動障害のある利用者の受入体制強化
地域での1人暮らしを希望しても、生活に必要な環境の整備が不十分であると、複数人で暮らす障害者グループホームに留まらざるを得ません。また、強度行動障害を抱える方やその保護者にとっては、地域の中で暮らすための支援体制や制度についてまだまだ不安が拭い去れません。望んだ生活を実現するためには、必要な支援体制と、安心して生活できる仕組み構築の両輪が揃わなければ成り立ちません。どんな障害があっても、どんなニーズであっても、皆サービスの輪からこぼれることなく望んだ生活が送れるよう、今後も制度の強化が期待されます。
障害があっても地域で暮らせるように
障害者がより良い暮らしを送れるように、障害福祉は日進月歩で進化を遂げています。実際の支援を提供している事業所、相談支援事業所や市町村、医療機関など、障害者を取り巻く全ての分野において、同じ方向性をもって地域移行へ取り組むことが求められます。
この記事の監修者 特定行政書士 宗方 健宏 行政書士国際福祉事務所は、障害福祉医療・外国人ビザの許認可手続きに特化しております。障害福祉医療業務・国際業務に特化しておりますので、様々な事例に対応してきました。障害福祉事業所と医療法人は、設立~運営までサポートしております。障害福祉事業所は、毎月の国保連請求代行業務(株式会社IWパートナーズ)や行政による実地指導の立会いまでサポートしております。国際業務は、障害福祉事業所・医療法人・企業で外国人を雇用したい法人様をサポートしております。 |