本記事では、医療法人の精通している士業に依頼すべきかどうかその理由と具体的な考え方について解説しますが、具体的に医療法人の設立・運営で関与する行政書士・税理士について解説します。これから医療法人設立をご検討されている方や、現在の顧問士業が医療法専門の士業でない場合などぜひご参考ください。

医療法人に精通している行政書士・税理士に依頼しよう

結論からお伝えすると、医療法人の設立・運営や税務会計は医療法人に精通している行政書士・税理士に依頼するべきです。その理由を解説していきます。

行政書士・税理士の得意分野には専門性がある

行政書士の業務は多岐にわたっています。行政書士は、官公署(各省庁、都道府県庁、区市町村・警察署・消防署等)に提出する書類の作成、同内容の相談やこれらを官公署に提出する手続について代理します。その書類のほとんどは許可認可に関するもので、その数は1万種類を超えるとも言われます。他に「権利義務に関する書類」・「事実証明に関する書類」の作成とその代理、相談業務もあります。

税理士の会計業務についても「会計」は一言でいっても、医療法人会計、建設業会計、農業会計など、一般的な企業会計とは異なる会計も含まれています。それぞれに専門の会計ソフトも存在していることからも、その特殊性は簡単に想像していただけるのではないでしょうか。

こういった様々の許認可や会計にはそれぞれ専門的な知識や、法改正による知識の上書きが必要です。行政書士は許認可の書類作成・税理士は税務全般のプロですが、様々な許認可や業界の会計処理やルールの専門的な知識を全て持っているわけではありません。

誤った医療法人設立・運営に関する手続きや税務申告は延滞税や追徴課税のリスクもある上に、何よりその内容に応じて社会的責任を問われる可能性もあります。

これから医療法人を設立する方や既に医療法人を運営中で新たに行政書士・税理士の顧問を検討する場合、医療法人に精通している行政書士・税理士か、実績が十分にあるかどうかをリサーチしましょう。

行政書士・税理士以外の士業ネットワーク

医療法人は、毎会計年度終了後3か月以内に「事業報告書等」や「医療法人が運営する病院・診療所にかかる経営情報の報告」を都道府県に提出する必要があります。また、決算時に法務局に資産の総額を変更登記する必要があります。これらの業務については、行政書士と司法書士の独占業務になります。

医療法人に精通している行政書士や税理士には、おのずと医療法人に強い士業のネットワークがあるものです。例えば、医療法人設立・運営には多くの許認可が必要になります。その際、サポートするの行政書士です。顧客が労務で困っている時には社会保険労務士を、患者とのトラブルで困っていたら弁護士を、資産の総額の変更登記に慣れた司法書士を、という伝手があります。

医療法人に精通している行政書士・税理士のもとには専門の情報が集まる

医療法人に精通している行政書士・税理士のもとには実に多くの専門的な情報が集まります。特に法律や制度の改正があった時には、各顧問先からさまざまな相談や、成功例・失敗例の情報が寄せられます。顧問契約している行政書士・税理士の他の顧客に医療法人がおらず、例えば他のすべての顧問先が従業員ゼロの物販の個人事業主だったらどうでしょうか。少し極端な例かもしれませんが、医療法人特有の相談をしても、得られるアドバイスは少ないでしょう。医療法人に精通している行政書士・税理士のもとには、そういった顧問先から集まってくる医療法人会計のノウハウが自然に集まってきます。また顧問先のために、日頃から積極的に関連の専門知識を取り入れ、新しい情報をアップデートしています。顧問先の中に医療法人が少ないと、必然的に集まる情報量は少なくなります。行政書士・税理士自ら情報を集めてくれていても、ほかの顧問先の業界についても同じようにアンテナを張る必要があるため、どうしても知識の漏れや情報のアップデートの遅れが起こりがちになります。法改正の情報やそれについての顧問先の困りごと、さらに対応策の実例(成功例・失敗例)が集まる行政書士・税理士にお願いすることで、専門性のない行政書士・税理士より数段先のアドバイスをもらえる可能性が高いです。

医療法人に精通している行政書士・税理士に依頼できない場合は?

とはいえ、医療法人に精通している行政書士・税理士に依頼できない場合もあるでしょう。この場合、経営コンサルタント会社に依頼すべきか。

専門性の高い行政書士・税理士にコンサルを頼もう

「行政書士は書類を作成する人」・「税理士は税金の計算をして、決算の申告をしてくれる人」という風に思っていませんか?確かにそれは間違いではありません。行政書士・税理士の中には高い専門知識を活用して、医療法人運営のアドバイスするコンサルタントとして活動している人も多くいます。医療の業界では、経営コンサルタントと名乗る方が多くいらっしゃいます。経営コンサルタント会社に依頼すべきか悩まれる方がいらっしゃいますが、やはり医療法人に精通している行政書士・税理士に依頼すべきです。国家資格でコンサルタントをしている行政書士・税理士の方が業務の幅が広く対応できることが多いからです。経営コンサルタント会社は、行政書士の独占業務である医療法人の許認可手続き業務や税理士の独占業務である税務代理. 税法律に基づき申請や申告などを行うことができません。仮に行った場合は、法令違反で処罰を受けます。医療法人に精通している行政書士・税理士にコンサルタントに入ってもらうことで、様々な経営課題や細かい困りごとに、より的確なアドバイスを受けることが可能になります。

医療法人に強い行政書士・税理士は心強いサポート

医療法人は社会的な役割が色濃いとはいえ、法令上の要件を満たしてしっかり運営できているか、利益がでているか、経営計画をしっかり考えなければならないところは一般企業と何ら変わりはありません。経営判断をするのは法人の経営者の仕事ですが、その判断材料をどこからとってくるか、ということはとても重要な要素です。医療法人に精通している行政書士・税理士に判断材料を揃えてもらうことで、心強い経営のサポーターになってくれます。

この記事の監修者 
特定行政書士 宗方 健宏

行政書士国際福祉事務所は、障害福祉医療・外国人ビザの許認可手続きに特化しております。障害福祉医療業務・国際業務に特化しておりますので、様々な事例に対応してきました。医療法人設立は、日々の診療で多忙な医師に変わり、設立から運営までサポートしております。障害福祉事業所の立ち上げ・運営コンサルティングは、毎月の国保連請求代行業務(株式会社IWパートナーズ)や行政による実地指導の立会いまでサポートしております。国際業務は、障害福祉事業所・医療法人・企業で外国人を雇用したい法人様をサポートしております。