医療法人を新しく立ち上げるためには、都道府県の認可や法務局への登記など、さまざまな手続きが必要です。しかし、都道府県の許認可手続きは作業量が多く、時間を要するため、事前の準備が欠かせません。医療法人設立は、約6~8か月間かかる非常に手間がかかる複雑な手続きとなります。

そこで、本記事では医療法人設立の手続きや流れ、日程などについて詳しく解説します。医療法人を立ち上げるために何を準備すべきか、手続きのポイントは何かを知りたい方は、まずは手続きの流れと、それぞれの概要を解説します。

医療法人設立の手続き・流れ(東京都の場合)

医療法人を新しく立ち上げて診療を開始するためには、さまざまな手続きが必要です。その中でも、都道府県の許認可申請は、作業量が多く時間を必要とします。

また、必要な手続きや流れは、都道府県ごとに異なりますので、自分が医療法人を設立する都道府県の最新情報を入手することが重要です。

医療法人の設立(登記完了まで)には6か月程度かかります。さらに、医療法人設立認可後にも、保健所での法人診療所開設届など多くの手続きが必要です。これらの手続きにも1~2か月程度かかりますので、しっかりとスケジュールを立てて取り組みましょう。

東京都の、医療法人設立の手続きの流れは、以下のようになります。

  1. 医療法人設立の手引の入手
  2. 定款または寄附行為案の作成
  3. 設立総会の開催
  4. 設立認可申請書の作成
  5. 設立認可申請書の提出(仮申請)
  6. 設立認可申請書の審査(保健所等の関係機関への照会、面接等を含む)※要件などが満たせない場合には取り下げ
  7. 設立認可申請書の本申請
  8. 医療審議会への諮問
  9. 答申
  10. 設立認可書交付(医療法人運営の手引きを入手)
  11. 設立登記申請書類の作成・申請(法務局で行う)
  12. 登記完了(法人設立)

1.医療法人設立の手引の入手

医療法人を設立するためには、まず東京都の医療法人設立の手引を入手する必要があります。この手引には、設立の概要や手順が詳しく説明されており、東京都の公式ウェブサイトからダウンロードできます。

2.定款または寄附行為案の作成

医療法人を設立する際には、定款または寄附行為案を作成する必要があります。定款は、法人の目的や組織、役員の任命などを明記した文書です。社団法人は定款、財団法人は寄附行為を作成します。これらの文書は、医療法人設立認可申請の際に、一緒に提出する必要があります。

3.設立総会の開催

医療法人を設立するためには、設立総会を開催する必要があります。設立総会では、定款や寄附行為案の承認、役員の選任などが行われます。医療法人設立認可申請の際に提出する必要がありますので、総会の議事録は必ず作成しておきましょう。

4.設立認可申請書の作成

設立認可申請書は、医療法人を設立するための必要書類です。この書類には、設立する医療法人の詳細情報や目的、役員の情報、資金計画などが含まれます。正確かつ詳細な情報を記載しましょう。

5.設立認可申請書の提出(仮申請)

設立認可申請書は、まずは仮申請として提出されます。この後の面談や審査を経て、要件を満たすように修正などを行いますので、まずは仮申請という形になります。

6.設立認可申請書の審査

ここでは申請書類の不備の修正や、追加書類の提出、保健所など関係機関による確認・面談などが行われ、本審査に進めるかどうかが審査されます。

どうしても要件などが満たせない場合には、取り下げを行うことになります。

7.設立認可申請書の本申請

書類の不備や追加書類の収集などを行い、審査の際に指導を受けた通りに、申請書を再度整備して、本申請を行います。

8.医療審議会への諮問

本申請がされた後、医療審議会での諮問が行われます。医療審議会は、医療法人の設立に関する専門的な意見や助言を行う機関です。諮問では、医療法人の設立についての詳細な調査や審査が行われ、設立の妥当性や適合性が評価されます。

9.答申

医療審議会の諮問を受けた後、答申として医療法人の設立についての審査結果や意見がまとめられ、設立認可の可否が判断されます。諮問の結果「問題なし」と答申(判断)されると、医療法人の設立が承認されます。

10.設立認可書交付(医療法人運営の手引きを入手)

前ステップで「問題なし」と判断されると、知事の名前で設立認可書が交付されます。ここまでくれば、あとは必要な手続きを経て、医療法人を運営していくことになります。

東京都の場合には、「医療法人運営の手引」を配布していますので、入手して運営の参考にしましょう。

11.設立登記申請書類の作成・申請(法務局で行う)

設立認可書を取得したら、次に設立登記申請書類を作成し、法務局へ提出する必要があります。設立登記申請書類には、医療法人の設立に関する詳細な情報や必要書類が記載されていますので、慎重に準備しましょう。法務局では、提出された申請書類を審査し、登記手続きを行います。手続きの詳細や必要書類については、法務局のホームページや窓口で確認できます。

12.登記完了(法人設立)

設立登記申請書類の審査が終了し、法務局からの承認を受けると、医療法人の登記が完了します。登記完了後は、法人としての活動が可能となります。登記完了後には、設立登記簿謄本などの書類が発行されますので、大切に保管しておきましょう。

医療法人設立までの日程(東京都の場合)

東京都の設立認可の日程(予定)は、以下になります。前述の通り、申請書を提出してから認可書の交付まで約6か月間かかります。

また、受付期間も年に2回だけになりますので、しっかりとスケジュールを立てて準備しましょう。審議会などの日程は、変更になることがありますのでご留意ください。

■第1回申請

申請書の受付期間令和5年8月21日~8月25日(郵送必着)
医療審議会の開催令和6年2月初旬
認可書の交付令和6年2月下旬

■第2回申請

申請書の受付期間令和6年3月13日~3月19日(郵送必着)
医療審議会の開催令和6年8月初旬
認可書の交付令和6年8月下旬

参考:東京都保健医療局「医療法人設立、解散、合併認可等に係る年間スケジュール(令和5年度)」

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障害福祉医療業務紹介

この記事の監修者 
特定行政書士 宗方 健宏

行政書士国際福祉事務所は、障害福祉医療・外国人ビザの許認可手続きに特化しております。障害福祉医療業務・国際業務に特化しておりますので、様々な事例に対応してきました。医療法人設立は、日々の診療で多忙な医師に変わり、設立から運営までサポートしております。障害福祉事業所の立ち上げ・運営コンサルティングは、毎月の国保連請求代行業務(株式会社IWパートナーズ)や行政による実地指導の立会いまでサポートしております。国際業務は、障害福祉事業所・医療法人・企業で外国人を雇用したい法人様をサポートしております。