特定技能外国人を採用する場合には、外国人と雇用契約を締結するだけではなく、外国人本人の技能・日本語能力の確認、受入れ企業の要件確認、支援計画、分野別の手続、出入国在留管理局への申請など、複数の手続きを行う必要があります。

また、すでに日本に在留している外国人を採用する場合と、海外にいる外国人を日本へ呼び寄せる場合では、入管へ行う申請も異なります。

特に初めて特定技能外国人を採用する会社では、採用を決めた後になって「会社側の要件を満たしていなかった」「必要な協議会の手続が終わっていなかった」「支援体制を準備していなかった」と判明すると、入社時期に影響する可能性があります。

本記事では、特定技能外国人を採用する前の確認から、雇用契約、支援計画、入管申請、就労開始、その後の届出まで、企業側から見た雇用の流れを解説します。

特定技能外国人を採用する前に確認すること

特定技能外国人の採用では、最初に「外国人が試験に合格しているか」だけを確認するのではなく、外国人本人、仕事内容、受入れ企業の3つを確認することが重要です。

外国人本人が特定技能の要件を満たしていても、会社が行っている事業や担当させる仕事内容が対象分野に該当しなければ、特定技能として採用することはできません。

また、対象分野であっても、会社側が特定技能所属機関としての基準や分野独自の基準を満たしていない場合には、在留資格が許可されない可能性があります。

そのため、採用活動を始める前に、「外国人」「仕事内容」「会社」の3点を確認することが重要です。

STEP1|外国人本人の要件を確認する

まず、採用予定の外国人が特定技能の要件を満たしているかを確認します。

特定技能1号の場合には、原則として対象分野の技能試験と日本語試験への合格が必要です。

技能実習2号を良好に修了した外国人については、技能実習と特定技能の業務に関連性が認められる場合、試験が免除されることがあります。また、現在日本に在留している外国人の場合には、現在の在留資格、在留期限、これまでの就労状況なども確認します。

STEP2|会社側の受入れ要件を確認する

次に、会社が特定技能外国人を受け入れることができるかを確認します。

特定技能所属機関には、労働関係法令、社会保険関係法令、租税関係法令などを遵守していること、外国人との雇用契約を適正に履行できることなどが求められます。また、分野によっては、特定の許可・認定を取得していることや、協議会への加入などが必要になる場合があります。

この段階で会社側の要件を確認せず、採用後に問題が判明すると、予定していた時期に外国人を受け入れられない可能性があります。

STEP3|面接・採用を決定する

外国人本人と会社側の基本的な要件を確認した後、面接を行い、採用を決定します。

面接では、外国人の日本語能力や経験だけでなく、取得している技能試験、これまで従事してきた仕事、希望する仕事内容なども確認します。採用後に担当させる仕事と、外国人が取得している特定技能の分野・業務区分が合っているかを確認することが重要です。

STEP4|特定技能雇用契約を締結する

採用が決まったら、会社と外国人との間で特定技能雇用契約を締結します。

特定技能では、日本人と同様に労働関係法令を遵守するだけではなく、外国人の報酬額が同等の業務を行う日本人と同等以上であることなど、特定技能制度独自の基準も満たす必要があります。

雇用契約書や労働条件通知書には、業務内容、勤務場所、給与、労働時間、休日、契約期間などを具体的に記載します。

外国人本人や家族から保証金を徴収する契約や、不当に高額な違約金を定める契約などは認められていません。

STEP5|健康診断・事前ガイダンスを行う

在留申請に向けて、外国人本人の健康診断など必要な準備を行います。

特定技能1号の場合には、雇用契約締結後、在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を行う前に、事前ガイダンスを実施します。

事前ガイダンスでは、仕事内容、労働条件、日本で行うことができる活動、入国手続、支援内容、保証金や違約金に関する事項などについて、外国人本人が十分に理解できる言語で説明します。

STEP6|協力確認書を提出する

初めて特定技能外国人を受け入れる会社は、特定技能雇用契約締結後、入管への在留申請を行う前に、市区町村へ「協力確認書」を提出します。

提出先は、外国人が実際に働く事業所の所在地が属する市区町村と、外国人の住居地が属する市区町村です。事業所と住居地が同じ市区町村であれば、その市区町村へ一通提出します。

会社は、地方公共団体から共生施策への協力を求められた場合には、必要な協力を行うことになります。

STEP7|特定技能1号の支援計画を作成する

特定技能1号外国人を採用する場合には、「1号特定技能外国人支援計画」を作成します。

支援計画には、事前ガイダンス、住居確保、生活オリエンテーション、日本語学習、相談対応、定期面談など、外国人が日本で生活・就労するために必要な支援を記載します。

会社自身で支援を実施できる場合には自社で行うことができますが、支援体制を満たすことが難しい場合には、登録支援機関に支援の全部を委託することができます。

STEP8|分野ごとの手続きを確認する

特定技能は、分野によって追加の受入れ要件があります。

例えば、協議会への加入、所管省庁への手続、事業所の認定、事業許可、特定の資格などが必要になる場合があります。

そのため、共通の入管書類だけを準備するのではなく、採用する分野の「分野別運用方針」「運用要領」を確認し、申請前に必要な手続を完了しておくことが重要です。

日本にいる外国人を採用する場合

すでに日本にいる外国人が、現在の在留資格から特定技能へ変更する場合には、原則として「在留資格変更許可申請」を行います。

基本的な流れは、

外国人の要件確認
→ 会社側の要件確認
→ 採用決定
→ 特定技能雇用契約
→ 事前ガイダンス等
→ 協力確認書
→ 支援計画
→ 分野別手続
→ 在留資格変更許可申請
→ 許可
→ 特定技能として就労開始

となります。

例えば、「留学」「技能実習」「技術・人文知識・国際業務」などから特定技能へ変更する場合には、それぞれ現在の在留状況も確認したうえで申請します。

海外から外国人を呼び寄せる場合

海外に住んでいる外国人を特定技能として日本へ呼び寄せる場合には、「在留資格認定証明書交付申請」を行います。

基本的には、

外国人の要件確認
→ 採用決定
→ 特定技能雇用契約
→ 事前ガイダンス等
→ 協力確認書
→ 支援計画
→ 分野別手続
→ 在留資格認定証明書交付申請
→ 認定証明書交付
→ 日本の在外公館で査証申請
→ 査証発給
→ 日本へ入国
→ 就労開始

という流れになります。

また、外国人の国籍によっては、本国政府が定める送出手続や現地での手続が必要になる場合がありますので、採用する国籍が決まった段階で確認しておく必要があります。

変更申請中は特定技能として働けない

日本国内にいる外国人について、特定技能への在留資格変更許可申請を行った場合でも、申請を提出しただけで特定技能として働けるようになるわけではありません。変更許可が出るまでは、現在保有している在留資格で認められている範囲内で活動する必要があります。

例えば、「留学」の外国人を採用し、特定技能への変更申請を提出したとしても、許可が出る前から特定技能外国人としてフルタイム勤務を開始させることはできません。

外国人本人だけでなく、会社側も入社日や勤務開始日を設定する際には注意が必要です。

許可・入国後に就労を開始する

日本国内から変更する場合には、在留資格変更が許可された後、新しい在留カード・指定書等を確認したうえで、特定技能としての勤務を開始します。

海外から呼び寄せる場合には、査証を取得して日本へ入国した後、住居地の届出や生活オリエンテーションなど必要な手続きを行い、雇用契約に基づいて就労を開始します。

特定技能1号の場合には、入社後も支援計画に基づく支援を継続する必要があります。

雇用後も入管への届出が必要

特定技能外国人を採用した後も、受入れ企業には出入国在留管理庁への届出義務があります。

例えば、特定技能雇用契約を変更した場合、契約を終了した場合、登録支援機関との委託契約を変更・終了した場合、外国人の受入れ継続が困難となった場合などには、必要な随時届出を行います。

雇用契約の変更・終了など一定の届出については、事由が発生してから14日以内に行う必要があります。

登録支援機関へ支援を委託している場合でも、特定技能所属機関として会社自身が行わなければならない届出がありますので注意が必要です。

定期届出は年1回

特定技能制度では、2025年4月から定期届出の提出頻度が変更され、現在は年1回となっています。

4月1日から翌年3月31日までの受入れ・活動・支援実施状況について、翌年度の4月1日から5月31日までに届け出ます。

以前は四半期ごとの届出でしたが、現在は制度が変更されていますので、過去の情報を基に管理しないよう注意が必要です。

ハローワークへの届出も確認する

外国人を雇い入れた場合や離職した場合には、出入国在留管理庁への手続とは別に、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」が必要となる場合があります。

雇用保険の被保険者となる外国人については、通常、雇用保険の資格取得・喪失手続とあわせて行います。

特定技能では入管関係の届出が多いため、入管への届出だけを行い、労働関係の届出を忘れないよう会社内で管理することが重要です。

採用前から手続きを確認することが重要

特定技能外国人の採用は、通常の採用活動と比べて、確認すべき事項が多くあります。

外国人が試験に合格していても、会社側の要件、仕事内容、分野別の基準、支援体制などに問題があれば、予定していた時期に特定技能として働くことができない可能性があります。

そのため、

採用する
→ 手続きを調べる

のではなく、

外国人と会社の要件を確認する
→ 必要な手続とスケジュールを確認する
→ 採用を進める

という順番で進めることをおすすめします。

当事務所のサポート

当事務所では、特定技能外国人を初めて採用する企業について、採用前の要件確認から、外国人本人の技能・日本語要件、会社側の受入れ要件、分野別要件、特定技能雇用契約、在留資格申請まで対応しております。

日本国内にいる外国人の在留資格変更許可申請、海外から外国人を呼び寄せる在留資格認定証明書交付申請、雇用後の在留期間更新許可申請などについてもサポートしております。

特定技能は分野や外国人の状況によって必要となる手続が異なるため、採用が決まってからではなく、外国人の採用を検討している段階からご相談いただくことで、必要な手続や入社までのスケジュールを整理することができます。