ミャンマー情勢を踏まえ、日本に在留するミャンマー人の方については、緊急避難措置として在留資格「特定活動」による在留が認められる場合があります。一方で、特定活動は、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動を行うための在留資格です。そのため、同じ「特定活動」であっても、就労の可否、就労時間、活動内容は、指定書の内容によって異なります。特定活動で在留しているミャンマー人の方が、日本で安定して就労を続けるためには、就職先で行う業務内容に応じて、在留資格「技術・人文知識・国際業務」へ変更することが考えられます。

本記事では、ミャンマー人の方が特定活動から技術・人文知識・国際業務へ変更する場合のポイント、審査で確認される内容、会社側の注意点について解説します。

特定活動で在留するミャンマー人とは

ミャンマー情勢を踏まえ、出入国在留管理庁では、日本に在留するミャンマー人の方に対し、緊急避難措置として在留資格「特定活動」による在留を認める取扱いを行っています。

この特定活動は、ミャンマー本国の情勢により帰国が困難な方などを対象として、日本での在留を継続するために認められるものです。

ただし、特定活動で在留しているからといって、すべての方が同じ条件で働けるわけではありません。

在留資格「特定活動」は、法務大臣が個々の外国人について活動内容を指定する在留資格です。そのため、パスポートに貼付されている「指定書」を確認し、現在どのような活動が認められているかを確認することが重要です。

特に確認すべき点は、現在の在留資格が「特定活動」であるか、指定書に就労可と記載されているか、就労時間に制限があるか、就労できる業務内容に制限があるか、在留期限がいつまでかという点です。

ミャンマー人の方を採用する企業側も、在留カードだけで判断するのではなく、必ず指定書の内容を確認する必要があります。

技術・人文知識・国際業務とは

「技術・人文知識・国際業務」は、日本の会社等との契約に基づき、自然科学又は人文科学の分野に属する技術・知識を必要とする業務、又は外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務に従事するための在留資格です。

一般的には、次のような職種が対象となります。

システムエンジニア
プログラマー
機械設計
電気・電子技術者
CADオペレーター
貿易業務
海外営業
通訳・翻訳
マーケティング
経理・総務・人事
外国人顧客対応
海外取引先との調整業務

ただし、職種名だけで許可されるわけではありません。

実際の業務内容が、大学や専門学校等で学んだ専門知識と関連しているか、又は外国人本人の語学力・国際的な感覚を必要とする業務であるかが重要です。

例えば、雇用契約書に「通訳」「営業」「事務」と記載されていても、実際の業務が現場作業や単純作業中心であれば、技術・人文知識・国際業務に該当しない可能性があります。

特定活動から技人国へ変更できるのか

特定活動で在留しているミャンマー人の方であっても、要件を満たせば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可申請を行うことは可能です。

在留資格変更許可申請は、現在有している在留資格から、別の在留資格に該当する活動を行おうとする場合に行う手続きです。

つまり、現在「特定活動」で在留している方が、日本の会社に就職し、その仕事内容が「技術・人文知識・国際業務」に該当する場合には、在留資格変更許可申請を行うことになります。

ただし、申請すれば必ず許可されるわけではありません。

在留資格の変更は、申請者の活動内容、在留状況、在留の必要性等を総合的に勘案して判断されます。

そのため、ミャンマー人であることや、特定活動で在留していることだけを理由に、技人国への変更が当然に認められるわけではありません。

変更申請で重要となるポイント

特定活動から技術・人文知識・国際業務へ変更する場合、重要となるのは「本人の要件」と「会社・業務内容の要件」の両方です。

具体的には、本人の学歴又は実務経験、本人の専攻内容と仕事内容の関連性、就職先との雇用契約の内容、実際に従事する業務内容、報酬額が日本人と同等以上であること、会社の事業内容、会社の安定性・継続性、過去の在留状況などが確認されます。

特に重要なのは、本人の学歴・専攻内容と、就職先で行う業務内容の関連性です。

例えば、大学でITを専攻していた方が、システム開発や社内IT管理の業務に従事する場合は、専攻内容と業務内容の関連性を説明しやすいケースといえます。

一方で、大学や専門学校で学んだ内容と就職先での業務が大きく異なる場合には、なぜその業務が技術・人文知識・国際業務に該当するのか、どのような専門知識を使うのかを丁寧に説明する必要があります。

本人側で確認される事項

本人側では、主に学歴、職歴、専攻内容、これまでの在留状況が確認されます。

技術・人文知識・国際業務では、業務に関連する分野を大学等で専攻して卒業していること、又は一定期間の実務経験を有していることが重要です。

専門学校を卒業している場合は、専門士又は高度専門士の称号を付与されているか、専攻内容と業務内容に関連性があるかが確認されます。

ミャンマー本国の大学を卒業している場合は、卒業証明書、成績証明書、専攻内容が分かる資料などを準備することがあります。外国語の書類については、日本語訳を添付する必要があります。

また、現在の特定活動での在留状況も確認されます。

許可された範囲内で就労していたか、在留期限を守っているか、過去に資格外活動違反がないか、税金や社会保険の状況に問題がないかなども注意が必要です。

会社側で確認される事項

会社側では、事業内容、雇用契約、業務内容、給与水準、会社の安定性などが確認されます。

特に重要なのは、会社がどのような事業を行っており、申請人をどの部署で、どのような業務に従事させるのかを具体的に説明することです。

単に「通訳業務」「事務職」「営業職」と記載するだけでは不十分な場合があります。

例えば、海外取引先とのメール対応、ミャンマー語・日本語の通訳、外国人顧客対応、海外向け資料の作成、貿易書類の作成、システム開発、社内IT管理、CAD設計、マーケティング資料の作成、外国人スタッフの教育・管理など、実際の業務内容を具体的に整理する必要があります。

会社側の説明が不十分な場合、本人に専門性があっても、技術・人文知識・国際業務に該当する業務を行うとは認められない可能性があります。

仕事内容で注意すべき点

技術・人文知識・国際業務への変更申請では、実際の仕事内容が非常に重要です。

たとえ雇用契約書上の職種名が「通訳」「営業」「エンジニア」「事務」となっていても、実際の業務が単純作業中心であれば、許可が難しくなる可能性があります。

注意が必要な業務としては、工場ラインでの単純作業、飲食店での接客・配膳のみ、倉庫内作業、清掃業務、商品の梱包・仕分け作業、建設現場での作業員業務、ホテルでのベッドメイキングのみ、介護施設での身体介護業務などがあります。

これらの業務は、原則として技術・人文知識・国際業務に該当しにくい業務です。

一方で、同じ業界であっても、専門知識や語学力を使う業務であれば、技術・人文知識・国際業務に該当する可能性があります。

例えば、ホテル業界であっても、外国人顧客対応、予約管理、海外旅行会社との調整、翻訳・通訳、マーケティングなどを担当する場合には、業務内容を具体的に説明することで、技人国該当性を検討できる場合があります。

単純労働は技人国に該当しません

技術・人文知識・国際業務は、単純労働を行うための在留資格ではありません。

そのため、人手不足を理由に、現場作業、製造作業、清掃、配膳、運搬、梱包などの業務に従事させる目的で申請しても、許可は難しくなります。

特に、特定活動で就労しているミャンマー人の方について、これまで工場、飲食店、建設現場、清掃、倉庫作業などで働いていた場合、同じ勤務先でそのまま技術・人文知識・国際業務へ変更できると誤解されることがあります。

しかし、技術・人文知識・国際業務への変更では、「今後どのような専門的業務に従事するのか」が審査されます。

これまでの就労先で働き続ける場合であっても、業務内容が技人国に該当する専門的業務へ変わるのか、実際にその業務を担当する必要性があるのか、会社側にその業務が存在するのかを説明する必要があります。

特定活動中の就労状況にも注意

特定活動から技術・人文知識・国際業務へ変更する場合、現在の特定活動中の就労状況にも注意が必要です。

特定活動は、指定書により活動内容が個別に定められます。就労が認められている場合でも、就労時間や就労内容に制限がある場合があります。

例えば、週28時間以内の就労が認められている特定活動の場合、週28時間を超えて働いていた場合には、在留状況に問題があると判断される可能性があります。

また、就労不可の特定活動で働いていた場合や、指定された活動範囲を超えて働いていた場合には、資格外活動違反等の問題が生じる可能性があります。

技術・人文知識・国際業務への変更申請では、今後の業務内容だけでなく、これまでの在留状況も確認されます。

そのため、現在の特定活動の指定書を確認し、これまでの就労が許可された範囲内であったかを整理しておくことが重要です。

当事務所のサポート

当事務所では、ミャンマー人の方の特定活動から技術・人文知識・国際業務への在留資格変更許可申請に関するご相談に対応しております。

現在の特定活動の指定内容の確認、技人国該当性の確認、学歴・職歴と業務内容の関連性の整理、雇用契約書・職務内容説明書の確認、会社側資料の整理、申請理由書の作成までサポートいたします。

また、外国人本人からのご相談だけでなく、ミャンマー人の方を採用したい企業様からのご相談にも対応しております。

例えば、次のようなご相談が可能です。

特定活動のミャンマー人を正社員として採用したい
現在の特定活動から技人国へ変更できるか確認したい
仕事内容が技人国に該当するか判断してほしい
学歴と業務内容の関連性を確認したい
雇用契約書や職務内容説明書を確認してほしい
不許可リスクを事前に確認したい

特定活動から技術・人文知識・国際業務への変更申請では、本人の状況と会社側の受入体制を総合的に整理することが重要です。

ミャンマー人の方の在留資格変更や採用をご検討されている場合は、お早めにご相談ください。