本記事は、令和8年7月25日付の報道及び出入国在留管理庁が公表している永住許可に関するガイドライン等を基に作成しています。

報道によれば、政府は外国人の永住許可要件を厳格化し、新たに年収や将来の年金受給見込み額、日本語能力、日本の制度・生活ルールへの理解などを審査上重視する方向で検討しているとされています。

永住許可申請を検討している方は、報道内容だけで判断するのではなく、出入国在留管理庁の最新情報を確認したうえで、早めに準備を進めることが重要です。

永住許可要件の厳格化が検討されている背景

近年、日本に在留する外国人は増加しており、就労、家族滞在、定住、永住など、在留形態も多様化しています。

その一方で、政府は、外国人材の受入れを進めるだけでなく、在留管理の適正化や、秩序ある共生社会の実現を重視する方針を示しています。

出入国在留管理庁が公表している「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」でも、外国人が日本のルールや制度を理解し、責任ある行動をとることの重要性が示されています。また、永住者の在留資格について、独立生計要件等の明確化や取消しに係るガイドライン策定に向けた取組も掲げられています。

さらに、報道によれば、出入国在留管理庁の職員を増員し、不法滞在者への対応強化や在留審査の迅速化を図る方針も示されています。これは、外国人の受入れ拡大と同時に、在留管理をより厳格かつ適正に行う方向性を示すものといえます。

今回報じられている永住許可要件の見直しも、こうした外国人政策全体の流れの中で位置付けられるものと考えられます。

現在の永住許可の基本要件

現在の永住許可に関するガイドラインでは、永住許可の法律上の要件として、主に次の3つが示されています。

素行が善良であること
独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

永住許可は、単に日本に長く住んでいれば当然に認められるものではありません。

在留期間、収入、納税状況、年金・健康保険料の納付状況、交通違反、出国歴、扶養関係、身元保証人、現在の在留資格での活動状況などが総合的に審査されます。

特に「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」は、永住許可申請において非常に重要な要件です。

日常生活において公共の負担にならず、将来にわたって安定した生活が見込まれるかどうかが確認されます。

年収要件が明確化される可能性

今回の報道で特に注目されているのが、年収要件の明確化です。

報道によれば、新しいガイドラインでは、原則として、日本人世帯の平均を上回る年収があることを求める方向とされています。

これまでも永住許可申請では、収入の安定性は重要な審査項目でした。申請人本人の収入だけでなく、配偶者や扶養家族の人数、世帯全体の収入、就労状況、転職歴、雇用形態なども確認されてきました。

しかし、今後、年収基準がより明確化される場合には、単に「生活できている」という説明だけでは足りず、一定水準以上の収入を客観的に示す必要が出てくる可能性があります。

例えば、次のような資料の重要性が高まることが考えられます。

  • 課税証明書
  • 納税証明書
  • 源泉徴収票
  • 給与明細書
  • 雇用契約書
  • 在職証明書
  • 確定申告書
  • 決算書
  • 預貯金通帳

会社員の場合は、安定した給与収入があるかどうかが重要になります。

個人事業主や会社経営者の場合は、売上だけでなく、所得、納税状況、事業の継続性、役員報酬、社会保険加入状況なども確認される可能性があります。

将来の年金受給見込み額も審査対象となる可能性

今回の報道では、年収だけでなく、将来の年金受給見込み額も新たな審査項目として検討されているとされています。

具体的には、年金の受給見込み額が、厚生年金に30年加入していた水準に達していることを原則として求める方向と報じられています。

これは、永住許可後に長期的に日本で生活することを前提として、将来も自立した生活を維持できるかどうかを確認する趣旨と考えられます。

これまでも永住許可申請では、年金保険料を適切に納付しているかどうかが重要でした。国民年金や厚生年金の未納、遅延納付がある場合、永住許可申請に不利に働く可能性があります。

今後、年金受給見込み額まで確認される運用となった場合には、単に「現在未納がない」というだけではなく、将来の生活安定性まで見られる可能性があります。

特に注意が必要なのは、次のようなケースです。

  • 来日年齢が高く、日本での年金加入期間が短いケース
  • 国民年金のみ加入しているケース
  • 転職や退職により年金加入に空白期間があるケース
  • 過去に国民年金の未納期間があるケース
  • 個人事業主で社会保険加入状況が複雑なケース
  • 配偶者や扶養家族が多いケース

報道では、不足する場合に預貯金などの資産で補充できる場合は、独立生計要件を満たすと評価する方向も示されています。

そのため、今後は収入、年金、預貯金、資産状況を総合的に整理することが、永住許可申請においてこれまで以上に重要になる可能性があります。

日本語能力・生活ルールの理解も重視される可能性

今回の見直しでは、経済的な要件だけでなく、日本語能力や日本の制度・生活ルールへの理解も重視される可能性があります。

報道によれば、「自立した言語使用者」とされる日本語能力や、日本の制度・生活ルールへの理解を新たな基準として設ける方向が示されています。

また、出入国在留管理庁では、外国人が日本語や日本の制度・ルール等を学習する「日本語・生活学習プログラム(仮)」の創設についても検討されています。

今後、永住許可申請において、日本語能力や生活ルールの理解が確認される場合、次のような点が重要になる可能性があります。

  • 日常生活に必要な日本語を理解できるか
  • 税金、年金、健康保険の制度を理解しているか
  • 在留カードや住居地に関する届出義務を理解しているか
  • 交通ルールや地域生活のルールを守っているか

永住許可は、在留期間の制限がなくなり、日本で長期的に生活することを前提とした在留資格です。

そのため、今後は「日本で安定して生活できる収入があるか」だけでなく、「日本社会の制度やルールを理解し、責任ある生活を送ることができるか」も、より明確に確認される可能性があります。

永住許可申請への実務上の影響

永住許可要件が厳格化された場合、申請実務にも大きな影響が出る可能性があります。

まず、申請前の要件確認がより重要になります。

これまでは、在留年数、収入、納税、年金、健康保険、交通違反などを中心に確認していましたが、今後は、将来の年金見込み、日本語能力、生活ルールの理解、家族の生活状況、子どもの就学状況なども含めて確認が必要になる可能性があります。

また、提出資料も増える可能性があります。

収入を証明する資料、年金加入状況を確認する資料、預貯金や資産を確認する資料、日本語能力を示す資料、学習プログラムの受講状況を示す資料などが求められる可能性があります。

さらに、現在すでに永住許可申請を検討している方については、申請時期の判断も重要です。

報道では、ガイドラインを改定し、一定時期以降の申請分から適用する方向が示されています。

ただし、正式な適用時期や経過措置は、今後の公表内容を確認する必要があります。

今から準備しておくべきこと

永住許可を検討している方は、制度改正が正式に決まってから準備するのではなく、今のうちから次の点を確認しておくことをおすすめします。

まず、収入状況を整理しましょう。

課税証明書や納税証明書で確認される所得額、世帯収入、扶養人数、転職歴、雇用契約の内容などを確認しておくことが重要です。

次に、年金・健康保険の納付状況を確認しましょう。

未納や遅延納付がある場合、永住許可申請に影響する可能性があります。納付記録を確認し、必要に応じて早めに整理しておくことが大切です。

また、日本語能力や日本の制度・ルールへの理解も重要になります。

日本語能力試験の受験、日本語学習の継続、日本の税金・社会保険制度の理解、在留カードに関する届出義務の確認など、日常生活の中で準備できることは少なくありません。

さらに、交通違反や法令違反にも注意が必要です。

永住許可申請では、素行が善良であることが求められます。軽微な違反であっても、回数や内容によっては審査に影響する可能性があります。

外国人を雇用する企業が注意すべき点

永住許可要件の厳格化は、外国人本人だけでなく、外国人を雇用する企業にも影響します。

外国人従業員が将来的に永住許可を希望する場合、勤務先での雇用状況、給与水準、社会保険加入状況、源泉徴収、住民税の特別徴収、労働条件などが重要になります。

企業側としては、次の点を確認しておくことが望ましいです。

  • 雇用契約書を適切に作成しているか
  • 給与支払が契約内容と一致しているか
  • 社会保険に適切に加入しているか
  • 源泉徴収や住民税の手続きが適切か
  • 職務内容が在留資格に合っているか
  • 転職時や職務変更時に必要な手続きを行っているか
  • 外国人従業員に日本の制度やルールを説明しているか

今後は、外国人材を採用するだけでなく、日本で安定して働き、生活できるよう支援する体制がより重要になると考えられます。

特に、技術・人文知識・国際業務、特定技能、経営・管理などの在留資格で長期雇用を予定している企業は、在留資格の取得・更新だけでなく、将来的な永住許可申請まで見据えた管理が必要になります。

新たな永久許可制度はまだ正式確定前

今回の永住許可要件の厳格化については、現時点では報道段階の内容を含みます。

新しいガイドラインの正式な内容、適用時期、対象者、経過措置、必要書類、審査方法などは、今後、出入国在留管理庁の公表内容を確認する必要があります。

したがって、現時点で「必ずこの年収が必要」「必ずこの日本語試験に合格しなければならない」と断定することはできません。

しかし、政府全体の方針として、外国人の受入れとあわせて在留管理の適正化を進める方向にあることは明らかです。

永住許可申請を検討している方は、今後の制度改正を待つだけでなく、現在の収入、納税、年金、健康保険、日本語能力、生活状況を早めに確認しておくことが重要です。

永住許可申請に関するご相談

当事務所では、永住許可申請に関するご相談に対応しております。

永住許可申請では、在留年数、在留資格、収入、納税状況、年金・健康保険、扶養関係、交通違反、出国歴、身元保証人などを総合的に確認する必要があります。

今後、年収、将来の年金受給見込み、日本語能力、日本の制度・生活ルールへの理解がより重視される場合には、申請前の準備がこれまで以上に重要になります。

永住許可を検討している外国人の方、外国人従業員の永住許可申請を支援したい企業様は、お早めにご相談ください。