技能実習生の受け入れには、企業単独型と団体監理型の2つの方式があります。

企業単独型は、企業が直接海外の支店や関連企業・取引先などから技能実習生を受け入れる方式です。一般的には規模が大きく、海外に支店や関連企業を持つ企業がこの方式で実習生を受け入れることが可能です。

企業単独型の大きな特徴は、監理団体を経由せずに企業自身が直接受け入れ手続きを行うことであり、企業は事前に技能実習生の人柄などをよく知った上で受け入れることができます。また、帰国後も現地の支店や関連企業で働いてもらうことができるため、コスト回収の観点からも企業にとってメリットのある方式です。

本記事では、外国人技能実習生の企業単独型について詳しく解説します。特徴やメリット、デメリットについて解説しますので、実習生受け入れの参考にしていただければ幸いです。

技能実習生とは?

技能実習生とは、外国から日本に来て技能の習得を行う人たちのことを指します。この制度は、日本が先進国としての役割を果たしつつ、国際社会との調和ある発展を図るために設けられました。技能、技術、知識の開発途上国などへの移転を促進し、経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としています。

技能実習の対象職種や業種は多岐にわたりますが、令和5年10月31日時点では、「移行対象職種」は、90職種165作業となっています。移行対象職種とは、実習生が第1号実習から第2号・第3号へ移行できる職種のことです。

参考:法務省・厚生労働省「外国人技能実習制度について」

業単独型とは?

前述のとおり、「企業単独型」とは、日本の企業が海外の「現地法人や合弁企業・子会社・関連企業・取引先企業」等の常勤職員を直接受け入れる方式で、企業が単独で技能実習生を受け入れることができる点に特徴があります。

1)団体管理型の違い

「団体監理型」は、事業協同組合などの中小企業団体・商工会議所・商工会が受け入れ団体(第一次受入機関)となり、実習生を受け入れ、傘下の中小企業で実務研修および技能実習を行う方式です。

これらの違いは、受け入れ企業の管理責任の所在です。企業単独型では、受け入れ企業が全ての管理業務を担当します。一方、管理団体型では、技能実習生の受け入れを専門とする監理団体が企業をサポートし、管理業務を共同で行います。

2)技能実習生の受入比率

実習生の受入比率について、外国人技能実習機構(OTIT)によると2022年末時点で団体監理型の受け入れが98.2%であることが報告されています。つまり、ほとんどの受け入れ企業は管理団体型を選択しているということになります。

なぜ団体監理型が選ばれるのかというと、監理団体が手続きのサポートなどを行ってくれ、企業は技能実習に専念できるためです。実習生の管理やトラブル時の対応なども行ってくれるため、企業の負担を大幅に軽減できます。

参考:外国人技能実習機構(OTIT)「令和4年度業務統計」

企業単独型での技能実習の期間

企業単独型での技能実習の期間は、最長で5年間です。ただし、すべての業種で5年間の雇用が可能になるわけではなく、技能実習1号から始まり、その後は一定の条件をクリアし必要な手続きを行っていくことで2号・3号と期間を延長できます。

技能実習1号の期間は最長1年間であり、この期間中に基本的な技能を習得し、実践的な技術を身につけることが求められます。1年目の終了後、技能実習2号への移行を希望する場合は、各種試験の合格や研修プログラムの修了など、一定の条件を満たす必要があります。

技能実習2号の期間は、1年間ずつ延長でき、最長2年間です。延長を希望する場合は、前年度の技能実習において一定の成果を上げ、受け入れ企業からの推薦や、所定の研修プログラムの修了などさまざまな条件をクリアする必要があります。

参考:法務省・厚生労働省「外国人技能実習制度について」

企業単独型のメリット

以下が企業単独型の主なメリットです。企業単独型は、実習生にとって将来のキャリア形成に役立つ、メリットの多い制度になります。

1)直接雇用の機会

企業単独型の技能実習では、実習生は受け入れ企業等に雇用されていた方々になります。したがって、実習期間が終了し帰国した後も、実習生は企業での正規雇用の機会を得ることができます。

2)企業の独自の教育プログラム

企業単独型では、企業が独自の教育プログラムを実施できます。実習生は企業の特定の技術や業務に特化した教育を受けることができ、より実践的なスキルを身につけることができます。

3)企業文化や労働環境への適応

企業単独型の技能実習では、実習生が企業の文化や労働環境に直接触れることができます。これにより、実習生は受け入れ企業の労働環境に適応する力を身につけることができます。

4)企業との密なコミュニケーション

企業単独型では、実習生は企業のメンバーとして活動するため、企業とのコミュニケーションが密になります。実習生は日本語のスキルを向上させるだけでなく、仕事の進め方やコミュニケーションスキルも磨くことができます。

5)実践的な仕事経験の獲得

企業単独型の技能実習では、実習生は実際の業務に携わる機会が多くあります。これにより、実習生は実践的な仕事経験を積むことができ、将来のキャリアに役立つスキルを身につけることができます。

企業単独型のデメリット

企業単独型にはデメリットも存在します。企業自身が技能実習生の管理や負担を行うため、管理責任の重さや業務負担・経費の増加などの課題があります。

1)管理責任の重さ

企業単独型では、企業自身が技能実習生の管理を行うため、管理責任が大きくなります。技能実習生の指導や監督を行うためには、企業側が専任の担当者を配置する必要があります。

2)負担の増加

技能実習生の受け入れには、生活環境の整備や保険加入などの措置が必要です。企業単独型では、これらの負担を企業自身が負担しなければなりません。これにより、企業の負担が増加する可能性があります。

3)経費の増加

技能実習生には一定の給与が支払われます。また、研修や教育プログラムの実施にも費用がかかります。企業単独型では、これらの経費を企業自身が負担しなければなりません。

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この記事の監修者 
特定行政書士 宗方 健宏

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