近年、外国人の在留資格審査において、税金や社会保険料などの公的義務の履行状況がこれまで以上に重視される傾向にあります。特に国民健康保険料については、滞納が在留資格の変更や更新に影響する可能性が高まっています。

令和7年11月には政府が外国人政策の見直し方針を示し、令和8年6月には国民健康保険料の滞納情報が入管庁へ提供されている実態が報じられました。

本記事では、政府の方針や報道内容を踏まえ、国民健康保険料の滞納と在留資格審査の関係について分かりやすく解説します。

政府が外国人政策の見直しを進める背景

令和7年11月4日、高市早苗首相は外国人政策に関する関係閣僚会議の初会合を開催しました。

会合では、一部の外国人による違法行為や制度の不適切な利用が国民の不安や不公平感につながっているとの認識が示されました。

高市首相は、「排外主義とは一線を画しつつも、政府として毅然と対応する」と述べ、外国人との共生を前提としながらも、ルール違反に対しては厳格に対応する考えを示しています。

政府は、外国人政策に関する基本方針を取りまとめ、制度の適正化を進める方針です。

国民健康保険料の滞納対策が強化される見込み

同日、厚生労働大臣は、外国人による国民健康保険料の未納防止策について、令和9年6月から開始する方向で準備を進めていることを明らかにしました。

報道によると、出入国在留管理庁と連携し、国民健康保険料を滞納している外国人については、原則として在留資格の変更や更新を認めない仕組みが検討されています。

また、外国人による医療費の未払い対策についても強化される見込みです。

すでに自治体から入管庁への情報提供が始まっている

制度改正は今後の話ですが、実は自治体と入管庁の連携はすでに始まっています。

報道によると、令和8年5月25日時点で全国115の自治体が、国民健康保険料の滞納状況が「悪質」と判断された外国人の情報を出入国在留管理庁へ提供しているとされています。報道では、滞納情報の提供を受けた外国人のうち、実際に在留不許可となった事例もあるとされています。

詳しくは下記をご覧ください。

https://www.asahi.com/articles/ASV6511H5V65OIPE00DM.html

在留資格審査では公的義務の履行が重視される

入管庁は、在留資格の変更や更新の審査において、公的義務を適切に履行しているかを確認しています。

具体的には、次のような事項が審査対象となります。

納税義務

  • 住民税
  • 所得税

などの納付状況

社会保険関係

  • 国民健康保険料
  • 国民年金保険料
  • 健康保険
  • 厚生年金

などの加入・納付状況

その他の法令遵守状況

  • 犯罪歴の有無
  • 各種届出義務の履行状況

特に永住許可申請では以前から厳格に確認されていましたが、今後は通常の在留資格更新や変更においても重要な審査項目になると考えられます。

なぜ国民健康保険料が問題になっているのか

厚生労働省によると、外国人の国民健康保険料収納率は日本人を含む全体の収納率を大きく下回っています。外国人住民が増加している自治体では、保険料滞納への対応が大きな課題となっており、収納率向上のための対策が求められていました。そのため、在留審査との連携によって適正な納付を促す仕組みが検討されているものと考えられます。

外国人本人が注意すべきポイント

今後は、在留資格の維持のためにも、公的義務を適切に履行することがより重要になります。

特に次の点を確認しておきましょう。

  • 国民健康保険料を期限内に納付する
  • 滞納がある場合は自治体へ相談する
  • 分割納付制度を活用する
  • 納付記録を保管する
  • 更新申請前に未納がないか確認する

単に申請直前に支払うだけではなく、継続的に適正な納付を行っているかが重視される可能性があります。

外国人を雇用する企業も注意が必要

外国人本人だけでなく、外国人を雇用する企業にとっても重要な問題です。

例えば、

  • 技術・人文知識・国際業務
  • 特定技能
  • 技能
  • 経営・管理

などの在留資格を持つ外国人が更新できなくなった場合、企業の人員計画にも影響が生じます。

企業としても、

  • 社会保険加入状況の確認
  • 在留期限の管理
  • 税金や保険料に関する周知

を行うことが重要になります。

今後の動向に注目が必要

現在、政府は外国人政策全体の見直しを進めています。

国民健康保険料の滞納と在留資格審査の関係についても、今後さらに制度が明確化される可能性があります。

特に、どのような場合に「悪質な滞納」と判断されるのか、どの程度在留審査へ影響するのかについては、今後の政府発表や入管庁の運用方針を注視する必要があります。

在留資格手続きは専門家へご相談ください

在留資格の更新や変更では、活動内容だけでなく、公的義務の履行状況も重要な審査要素となっています。

当事務所では、

  • 在留資格更新許可申請
  • 在留資格変更許可申請
  • 永住許可申請
  • 外国人雇用に関する企業支援

を行っております。

国民健康保険料や税金の滞納がある場合でも、状況によっては適切な対応方法を検討できる場合があります。

在留資格手続きについてご不安がある方は、お気軽にご相談ください。